伊藤 理彩/イトウ リサ/Lisa Ito
所属 | 【学 部】環境生命工学科 【大学院】環境システム専攻?バイオシステムコース |
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役職/職名 | 准教授 | |
学位(授与機関) | 博士(理学)(東京大学) | |
担当科目 | 【学 部】一般物理学?演習、物理化学、環境生命工学実習、生命科学分析 【大学院】環境応答生理学、バイオシステム講究I?II |
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略歴 | 2018年 東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了 2018年 同 特任研究員 2018年 大阪大学 大学院工学研究科 環境エネルギー工学専攻 特任研究員 2020年 同 助教 2023年 同 特任助教 (常勤) 2023年 同 特任講師 (常勤) 2024年 北九州市立大学 大学院国際環境工学研究科?国際環境工学部 准教授 (現在に至る) |
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専門分野 | 地球惑星科学、地球?環境化学、年代測定学、環境工学、環境リスク評価学 |
業績紹介
researchmapをご参照ください。
受験生向けメッセージ
身の回りの物質を構成している元素や環境中に排出された化学物質について、"どこを起源としてどこへ運ばれていくのか?"、あるいは"そこにとどまりつづけているのか?"、"ヒト?生態系への影響は?"といったことをテーマに研究を進めています。
環境問題に興味がある高校生の皆さん、ぜひ一緒にその疑問を解き明かすべく、そして持続可能な地球環境のためのヒントを与えることになる世界に一つだけのあなただけの研究を行っていきましょう!
その熱意を全力でサポートします。
企業メッセージ
Sustainable Development Goals (SDGs)の達成を目指し、環境負荷をできるだけ抑えた持続可能な事業の推進につながる研究を行っています。
より効果的な環境活動に関わるCorporate Social Responsibility (CSR)の取り組みについて、ご協力できることがございましたら、ご連絡ください。
研究内容?所属研究室紹介
私の研究室では、主に化学物質に関わることをテーマとし、近現代に排出された化学物質の挙動、またそれらの人為的影響や生態系への影響を研究しています。
具体的には、低緯度から大気中を移動して、高緯度の北欧などに高濃度領域を形成する残留性有機汚染物質 (POPs) の挙動、それらの生態への影響に着目しています。
また、国内の影響が少ない能登をフィールドとして、中国からの越境汚染、そのヒト健康影響についても着目しています。
これらの研究は、全て「ヒトや生態と、自然の関わり合い」、そして近現代における「化学物質」の挙動やリスク管理をプラスアルファしたものがテーマ軸として存在します。
つまり、地球化学を軸に、現象の素過程(メカニズム)を解明する部分に重点を置いた研究、そしてそれを応用した工学的要素に重点をおいた研究、そしてさらにその工学的要素の中からメカニズムの部分に焦点を当てた研究に着目しています。
さらに、サンゴ礁の島もフィールドとしており、これらの研究では、主に物質の素過程に着目しています。
中部太平洋などの環礁などのサンゴ礁の島は、造礁サンゴが基盤となり、約2500年前の海面変動がきっかけとなって海の上に顔を出したサンゴの上に、浅瀬に住んでいた有孔虫と呼ばれる”星の砂”(バキュロジプシナ)や”太陽の砂”(カルカリナ)の遺骸やサンゴ礫などが、波に運ばれたり、風に運搬されてできた生物の島です。
これらの堆積物は炭酸カルシウムを主体としているため、越境輸送された人為起源エアロゾルや、工業製品の使用によって島に入ってきた化学物質を特定しやすく、挙動を追いやすいという特徴があります。
そこで私の研究室では、サンゴ礁の島を”新たな環境化学のフィールド”として着目し、それらに関する研究を行っています。
また、もともと化学物質がなかったサンゴの島で確認された結果をヒントに地球規模での化学物質の移動や、大気中で浮遊粒子に付着した化学物質同士の反応メカニズム、そして反応生成物が生態やヒトにもたらす影響についても研究しています。
さらに、年間平均気温27~28℃、炭酸カルシウム主体…といった熱帯のサンゴ礁の島だからこそ起きる、硝化細菌の活性化のメカニズムと急速な土壌化などの特異的な現象にも着目しており、幅広いテーマに取り組んでいます。
研究は、実験、モデル、フィールド調査を組み合わせて行っています。
特に実験においては、同じ元素でも価数などで毒性の異なる元素、吸着のしやすさが異なる元素などがあるため、兵庫県のSPring-8や、つくばの高エネルギー加速器研究機構で、最新技術を生かした放射光を用いた実験を行い、その”化学種”を突き止めることで、環境中での挙動や生態への影響を考えています。
フィールド調査やエアロゾルの捕集は、マーシャル諸島、波照間島といった南の島などのほか、POPsという化学物質で問題となっている北欧でも実施していく予定です。
さらに大地震などの自然災害を起因とする産業事故 (Natural-Hazard Triggered Technological Accidents; Natech)において、主に河川に流出した化学物質による被害の効果的な低減策を提言するため、河川水中での化学物質の動態解析を行ったり、浄水場で使用する活性炭への化学物質の吸着能の評価をコンピューターシミュレーション(モデル)を使って取り組んだりしています。
これらの研究内容に興味を持ってくれた皆さん、ぜひ一緒に研究を楽しみましょう!