■本学独自の生涯教育システム |
C.C.は、学校教育法等にも特別の規定はありません。本学法学部独自の生涯教育システムです。「生涯教育の一環として地域住民に大学教育を組織的に提供すること」をその目的としています。 「生涯教育」は、最近の流行語のようですが、その語源は "lifelong education" の訳語で、人間は学齢期だけでなく、生涯にわたって学び成長する可能性をもっており、その学習が保障されるベきだ、というメッセージの込められたことばです。1965(昭和40)年にパリで開かれたユネスコの成人教育推進委員会で、この語を使って生涯にわたる教育を組織的に進めることが提案されました。技術革新に伴う生活様式の変化、労働力の有効な再利用、余暇の増加、高齢者社会の到来などから、とくに必要とされるようになり、わが国でも1971(昭和46)年、中央教育審議会が「生涯教育について」答申を行い、その政策化が始まりました。放送大学?大学開放の公開講座?民間のカルチャーセンターなどの盛況は、成人の学習意欲の強さを示しているといわれ、臨時教育審議会の教育改革の重点の一つにもなり、いろいろな意味で話題となりました。 中央教育審議会「生涯教育に関する小委員会」座長の三浦朱門氏は、「生涯学習と言われる大洋は広大かつ複雑で、たった一つの単語でカバーすることはドン?キホーテ的な冒険かもしれない。しかしこの大洋に鬱勃として動いている、さまざまな潮流に棹さしている人々の要望を国も自治体も、教育関係者も、今や無視することはできなくなっている」と述べ、市民の「生涯学習」の要求に応える「生涯教育」システムの開拓が不可避であることを主張しています。同委員会の「中間報告」では、大学の自主性に基づいて、生涯学習のために、履修形態やカリキュラムの多様化?柔軟化を進めていくことの重要性が指摘され、また、国や地方公共団体には、人々の学習が円滑に行われるよう、生涯学習の基礎を整備し、人々の自発的?自主的な生涯学習の基盤を整備していく役割が期待されています。 本学でも、生涯教育の在り方についてこれまでいろいろと論議を重ねてきました。とくに法学部では、1988(昭和63)年の「第2部」開設に際して、社会人特別入試の制度を作り、大学で一般学生と全く同じカリキュラムをこなし、大学卒業資格を得たいと希望されている社会人の方々のために、門戸を拡げました。彼らの学習意欲は素晴らしく、他の学生ばかりか、教員にも多くの刺激を与えてくれています。ただ、このシステムは、語学や体育実技なども受講しなければならず、資格取得を目指す人には良い制度だとは思いますが、二宮尊徳ばりの蛍雪生活を必要とします。 なお、現在では「第2部」(夜間部)の制度は廃止されています。 そこまでの時間的?経済的余裕はないけれど、一般的あるいは専門的な教養を身につけたいとお考えの方々には、特定のテーマについて、リレー講座を提供して人気のある「公開講座」があります。しかし、これは一般学生とは別に、社会人だけを対象とする特別の講演を聞くことになるので、当該テーマに特別の興味がある人には適していますが、大学で学生として広く学びたいという人には不向きです。 このような方には、一般学生と同じ講義を履修する「科目等履修生制度」があります。この制度は、「この先生のこの科目を履修したい」という具体的な希望のある人にはいいのですが、資格上の制限もあり、大学というものの特殊性にあまり慣れていない人には、ちょっと敷居の高い制度であることも事実です。 そこで、法学部では頭をひねり、「やりたいことは、おぼろげながら決まっているのだけれど、どんな先生にどんなふうにして指導を受けるとうまく勉強できるのかが分からない」という人達の生涯教育の新しいニーズに応えるために、C.C.を創りました。例えば、外国人の人権はどうなっているのだろうかとか、女性や子供の人権はどうしたら守れるのかとか、日本をとりまく国際情勢はどうなっているのだろうかなど、地域社会には、いろいろな学習意欲が渦巻いていることが、これまでの第2部の授業や公開講座などの経験を通じて明らかになってきました。 具体的には、教員による定期的な指導(=対面指導)を必須として、学生と共に講義を受講することで、教員?一般学生?地域住民が共有している問題関心をより発展させていくことにしました。しかし、大学のカリキュラムというものは、かなり組織的に整理されており、一部分をつまみ食いするだけでは十分理解できるものではありません。講義と演習(ゼミ)が一体となり、さらにはその問題をとりまく関連領域の理解とあいまってより深い理解ヘとつながっていくものです。前述のような問題関心をお持ちの方には、法学部で用意している体系的かつ組織的な教育システムの内のかたまりの一つを受講していただき、その方の生涯学習の一助にしていただこうというのがC.C.の目的です。いうなれば、一般の大学教育がフルコースのメニューだとすれば、公開講座は日替り定食、科目等履修生制度は一品料理、そしてC.C.は、メイン?ディッシュの決まったランチとでもいえるでしょうか。魚がいいのか、肉がいいのか、何を食べたいのか、お目当てのメイン?ディッシュが決まっている方にはお勧めのコースです。 |
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