環境やリスクに関わる
ふだん起きない事態に対する
人々の反応を捉えたい。
環境技術研究所
(国際環境工学部 環境生命工学科※ 兼務)
加藤 尊秋 教授
研究の魅力
環境分野、および、リスク管理分野で課題を解決するための人々の関わり方について調べています。出身分野が都市計画なので、工学部卒ではあるのですが、社会実験や調査をしながら経済学や心理学、統計学の知識も使って研究しています。日常での研究に加え、ふだん起きない事態や変化に対する人々の反応を捉えて記録したいと考えています。これまでに、福島第一原子力発電所事故の前後で原発立地地域の人々が発電所に対して感じる利点とリスクがどう変化したか、東日本大震災津波の被災直後に生活に必要な水がどう確保され、そのときの経験が復興にどう影響しているか、急速な経済成長が続くベトナム中部で自然発生的な食品廃棄物リサイクルを人々のつながりがどう支えてきたかなどを調べてきました。
研究の源
研究のきっかけとしては、技術や政策への人々の関わり方を調べることを基本としつつも、活動の中で出会った方や土地との縁が大きいです。このため、やっていることは、だんだんと変化しています。新たなフィールドやテーマができると、必要な知識や技能を身につけるために勉強しながら研究を進めています。
研究の未来
環境分野やリスク管理分野の研究は、あまり知られていないが意義のあるテーマを発掘しながら続けていきます。また、北九州市消防局や危機管理室とのご縁により、さまざまな組織が参加する防災訓練の結果を効果的に評価する方法も研究していますので、この方法の普及も目指しています。
ゼミのイチオシ
毎年、大学院生5?8名、学部4年生3?4名で運営しています。中国、ベトナムをはじめとする国からの留学生が多く、環境や防災に関わる様々なフィールドで研究をしています。自分で工夫してデータを集めて分析することを重視しています。日本語と英語の両方のゼミがあります。
- 先生のイチオシ
他の人が見逃している観点からの研究を重視しています。この写真は、ベトナム?ハノイ市の伝統的市場です。このような市場から出る廃棄物の量と組成が不明であったため、大規模な実測調査を行いました。
- オフショット
有名なところから無名のところまで、いろいろな場所を訪ねることが趣味です。この写真は、米国ニューオーリンズ市の路面電車で100年近く前に作られた車両だそうです。
加藤教授
プロフィール
子どもの頃は、千葉県北部で育ちました。博士課程までは、鉄道など都市の交通施設で生じる人々のコミュニケーションの特徴について研究をしていました。修士課程に進学したときに、研究の仕事につこうと思って夜間に英語を習うなどの準備をはじめました。当時の英語教育は、大学学部までほぼ読み書きのみでしたので、このとき学んだことは、今までずっと役立っています。博士号を取得した後は、イギリスの大学で少し研究員をしてから日本に戻り、その後、本学に移ってきました。